「ファストファッションと高級品」のあいだ
モノを減らしてシンプルな暮らしを実践する人のファッションの潮流は、大きく分けて2つ。
お手頃価格で着倒せる「ファストファッション派」と、本当のお気に入りだけを持ちたい「高級志向派」。もちろん現実には「ミックス派」も多数。
ここで、ファストファッションがもたらす環境問題や、高級品にかかるライセンス料の話はさておき、「結局どっちが良いのか?」ってすごく難しいですよね。
あなたはどう思いますか?
ある高級志向ブロガーの話
Gossip Girl Style Guideを運営するカズンズという海外ブロガーの話ですが、彼女はアンチ・ファストファッションで、一流のブランド品だけを愛する女性。
20代で年収は500万円弱、でもバッグも靴も数十万円の高級品ばかりを買っていたそうです。
そして海外ドラマ「ゴシップガール」が大好きだった彼女は、当時女優テイラーモムセンが劇中で持っていたヴァレンティノのバッグ(約25〜30万円)を気に入って購入する。
その後、たまたま家の近くでドラマの撮影があり、そこにご本人がいたので、思わず「自分もあなたが身につけているのと同じバッグを買ったの!」と話しかけたんだそう。
▼テイラーモムセン&ヴァレンティノのバッグ
(pinterestより)
すると、答えはこうだ。
「彼女、『このバッグ大好きだけど高過ぎて買えないよ』って言ったの!」(ファストファッション: クローゼットの中の憂鬱 より)
ドラマの中でステキな女優が持つバッグ。演じた女優さえも「高い」というバッグ。それに憧れて買う視聴者。この構造ってちょっと残酷だ…。
付け加えるとテイラーモムセンという女優は、華やかなセレブリティを気取るタイプではなく、女優を辞めてロックバンドのボーカルに専念するような、エッジの効いた性格だから後から考えると納得の話だけど、「高級志向」の魔法って怖いと時々思う。
このブロガーは、その後ブランド品で借金が増え、破産の一歩手前で目が覚めて、全てを売って今はファストファッションを楽しんでいるんだとか。ブランド品はほぼ全て換金したそう。
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そういえばインスタグラムで有名になったGENKINGさんも理想の自分を保つため借金して買い物してた。
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買い物は節度を失うと虚空
先日読んだ、川上未映子さんの小説にも、ショッピングのさめざめ感が描かれている。
主人公は、家族の残した資産が使いきれないほどあるけれど両親も彼氏も友人もいない40代女性。来る日も来る日も百貨店に足を運び、高級メゾンで買い物をするショートストーリーだ。
高級なブランド品が悪いわけじゃない。
ただ「ステキな誰かが持ってるから欲しい」、「イイね!が欲しいから買う」、「高かったから捨てられない」というのは、一種の「記号」でしかない。
雑誌やTVで見て、一目惚れして買うことだってあっても良いけれど、それが自分に似合うかどうかはまた別の話。
今度のトークイベントでは、同じアイテムでも着る人によって、こんなに似合うor似合わないを実演する予定だ。
▶︎チケット発売中:3/4東京「ミニマリスト×ファッション」トークイベント –
安いか高いか、ではない価値観
結局、わたしの中の結論はこうなる。
「ファストファッションと高級品」のあいだで、2者択一、あるいは値段と質の均衡が取れた需要供給曲線の交点を探るより、キュレーションサイトなどでコスパ最強アイテムを探すより、
まずは、自分の身体やライフスタイルも含めた身の丈に合うか、つまり誰でもなく「自分自身に似合うか」という視点を大切にすること。
そうして熟慮を経て、最愛のお気に入りに出会うのは、金額にかかわらず最高に気持ちが良い。そこを落とし所にしたいと思ってる。